ふるサポ通信

SDGs生物多様性:辻功のとんぼシリーズ第5回

お知らせ

春から夏へ

1年も半分が過ぎ、季節は梅雨真っただ中。

雨が今年は特に周期的に降り、なかなか野外に出られません。

でも、天気がよいとこの時期には鮮やかな色をもつトンボたちが水辺を飾ります。

今回は色の名前がついたトンボを2種類

1アオサナエ

まるで新緑を思わせるこのサナエは、日本にいる20種以上のサナエトンボの中でも特異な色をもっています。

5月から7月上旬のきれいな川の中流域に出現します。

私の住んでいる神奈川県では芦ノ湖まで足を運ぶと、岸辺にこの緑色の姿を見ることが出来ます。

大変素早いトンボで、低い高度でメスを求めて飛び回っているところなどは、目を凝らしてもその姿をとらえられません。

私の一押しのサナエトンボです。

 

2キイロサナエ

こちらは、対照的に水の流れの緩やかな小さめの川、田んぼのまわりのメダカが泳いでいるような用水路を想像していただくといいと思います。

どちらかというと関西地方の方が多いようです。オスは時々止まっている場所をスイ、と飛び立ちまた元の場所に戻る、という行動をとります。

2日続けてこのトンボを見に行きました。初日は写真のように空中に停止するホバリング飛行を頻繁に繰り返していました。飛んでいるところを撮影するのは簡単だと思っていました。ところが2日目はほとんどそんなことはせずに、飛んでは止まる、の繰り返し。天気は違ったとはいえどうしてここまで違う行動をとるのか、不思議でたまりませんでした。

 

<閑話休題>

6月某日、横浜の某所で“トンボ博士”こと小学校教諭である辻功先生にインタビューすることが出来ました。

辻先生の高校の同級生というK.Sさんと一緒に美味しい焼き鳥をいただきながらリラックスした雰囲気の中、トンボに対する熱い思いをお聞きしました。

 

「何故、トンボに魅かれたのですか?」

22歳の時に卒業間近の信州大学を休学して石垣島(沖縄県)の農業試験場で研究活動に従事したことがあります。

研究活動の合間に野山を歩く機会があり、偶然、とても美しいトンボと出会ったことが、私の約40年の“トンボ”人生の始まりです。そのトンボは、マサキルリモントンボという種類で、西表島にも生息しています。

その時のマサキルリモントンボは、まさに息をのむような美しさで、とても強いインパクトを受けました。

この記憶が忘れられずに、静かな自然のなか、美しいトンボに会いたいと思いが私の原動力になっています。

私の石垣島での生活は、某TV局の「明るい農村」で紹介され、本日ご一緒したK.Sさんからも連絡をもらった記憶があります。(笑)

 

   

辻先生              K.Sさん

 

「今まで何枚くらいトンボの写真を撮られたのですか?」

フィルム時代のものだけでも約2万枚ほどです。デジタルになってからはもうカウント出来ない感じです。(笑)

美しいトンボや珍しいトンボに会いに北海道から沖縄まで全国に行きました。五色沼であったアマゴイルリトンボも忘れないトンボのひとつですね。

 

「SDGsの取り組みについて何かご意見はありますか?」

SDGsは国連で加盟国が全会一致で決めたゴールです。無論、トンボを愛する私には、ゴール15の「陸の豊かさも守ろう」に高い関心があります。でもゴール15を達成しようとするためには同時に他のゴールの大切さも知る必要があると思います。例えば、我が国には約200種類のトンボがいますが、最近は地球温暖化の影響もあって、北方種が減少し南方種が増えています。我が国のトンボの生態系を守るうえでも、ゴール13の「気候変動対策」も重要といえます。

またトンボはきれいな水を好みますが、最近の川や湖の汚染も気がかりです。なかでもプラスチックごみによる汚染は深刻で、早く取り組まなければならない課題と思います。

SDGsでいううゴール12の「つくる責任つかう責任」は、ゴール14の「海の豊かさを守ろう」やゴール15にも繋がっていると考えます。日本の美しい自然を守るうえでも、SDGsを「自分ごと」として捉えていきたいですね。

 


 

SDGs生物多様性:辻功のとんぼシリーズ第4回目

お知らせ

1.ムカシトンボ産卵

トンボは4億年くらい前から地球上にいました。当時のトンボは古代トンボとされていて、現在のトンボとは姿形が違うところが多いのです。

しかし、このムカシトンボは約1億5000千慢年前のジュラ紀に栄えていた古代トンボの形態を残しているとされている貴重なトンボです。

日本にいるムカシトンボとインドに棲むヒマラヤムカシトンボ、そして最近は中華人民共和国でも見つかったとされるものです。

4月から5月中旬、北海道では6月上旬くらいまで渓谷の源流付近、冷たい水の流れの沢沿いに姿を現します。

日本昆虫学会のマークや切手のデザインに使われています。何年も渓谷に通い、ようやく撮影出来た産卵光景です。

落ち着いて1時間近く誰もいない沢でこのトンボと私だけ。私にとってはなんとも贅沢な時間でした。

2.ベッコウトンボ交尾

日本のトンボの中でも体色の独特さと翅の模様が個性的なトンボです。

100年近く前には平地の池や沼に多かったと言われていますが、次々に生息地が奪われ、現在は日本で数か所になってしまいました。

5月から6月にかけてアシやマコモの生える茂みの中でひっそりと棲んでいます。このトンボに会いたくて、九州まで出かけました。

あと30分で帰りの飛行機に乗るためにこの池を去らなければならない、という時に偶然交尾したカップルが目の前に止まりました。

無我夢中で撮影をして、何とか成功。今までで一番いい感じに撮影が出来ました。

SDGs生物多様性:辻功のとんぼシリーズ第3回目

お知らせ

1.オツネントンボ
日本にいるトンボ類の中でも成虫で越冬するトンボ3種類の中の一つです。
冬の間は木の皮の下や人家の納屋などに集団で越冬していることが記録されています。
どちらかというと山梨県や福島県など冬に寒くなる地方に多くみられるようです。
神奈川県の東部は温暖化の影響もあるのか、ほぼ絶滅したようです。
私の住んでいる三浦半島でも1990年に見たのが最後でした。
写真は2018年2月に長野県松本市へ行った際、友人の車のフロントにどこからともなく飛んできて止まったところです。
冬でも、気温が上がると飛び回るので、トンボ好きの私としてはいてほしいトンボの一つです。


2.アジアイトトンボとアオモンイトトンボ
イトトンボの仲間のメスは発達した産卵管を持っていて、草の茎などに卵を産み付けます。
茎の中に産み付ける時には腹部を曲げて力を込めている様子が伝わってきます。
右のアオモンイトトンボが産卵をしているとアジアイトトンボが後からやってきて、何とアオモンイトトンボの腹部を支えにして生み始めました。
なかなか見られない光景なので、夢中で撮影しました。大きさには違いがあります(アオモンはアジアより大きい)が、色や全体の様子はよく似ているので、慣れないと見間違えるかもしれません。春先から秋遅くまでいるイトトンボです。

 

SDGs生物多様性:辻功のとんぼシリーズ第2回目

お知らせ

“とんぼ”研究者で三浦市の小学校教諭である辻功さんの協力を得ての日本の“とんぼ紹介シリーズ”の第2回目です。SDGsにおける生物多様性の重要性を身近な“とんぼ”から感じとって頂ければ幸いです。

 

1.アオモンイトトンボ交尾2ペア

トンボの交尾はオスとメスのつくる形がハートになり、人の愛情の心に似ていて素敵だな、と感じます。

写真はアオモンイトトンボの2ペアです。右側のペアはオスメスそれぞれの色が違いますが、左側のペアはオスによく似ています。

このようにオスに似ていると、産卵しているときに他のオスから干渉を受けにくくなり、じっくり産卵に打ち込めるという利点があります。

オスに間違えられて、ハートを作れる回数も減るだろうからトントンではないかと思いますが・・・。

埼玉県辺りを北限としているどちらかというと南方系のイトトンボです。

2.ホソミオツネントンボ連結産卵

日本のトンボの冬越しは卵あるいは幼虫のヤゴで行う種類がほとんどですが、イトトンボの仲間の3種類は成虫の状態で行います。

ホソミオツネントンボはそのうちの一つです。冬には体の色を茶色に変え、木の枝に化けてじっとしています。

春先の水がぬるむ頃には水色に体の色を変えて♂♀連れ添いながら細い草に卵を産み付けます。

面白いことには冷蔵庫に入れるとまた茶色にもどります。温度により色を変えることが出来るトンボです。

 

カラフルな学校づくり:ESD実践と校長マインド [ 住田 昌治 ]

価格:1,944円
(2019/1/29 22:27時点)
感想(1件)

SDGs生物多様性:辻功のとんぼシリーズの開始について

お知らせ

“とんぼ”研究者で三浦市の小学校教諭である辻功さんの協力を得て、日本の“とんぼ”の紹介を始めます。SDGsにおける生物多様性の重要性を身近な“とんぼ”から感じとって頂ければ幸いです。子どもの頃に、よく追いかけた“とんぼ”を守っていきたいですね。

 

1 日本には赤とんぼの仲間が20種ほどいます。写真はヒメアカネといい、日本で一番小さい赤とんぼです。

水が染み出ているような小さい規模の浅い水溜まりを好み、晩秋まで見られますが日本各地で数を減らしています。

赤とんぼは古事記にも登場する日本人と関わりの深いトンボです。今後も身近に色々な赤とんぼが見られるようにと祈ってやみません。

 

 

2 トンボは日本におよそ200種がくらしていて、川 池 湿地などそれぞれの水環境に自分たちを適応させています。

ミヤマカワトンボは渓流にすむトンボで初夏から盛夏までその美しい姿を見せてくれます。翅は光の向きによって様々な色に変化します。

写真のように交尾したあと、メスは川沿いの草木に卵を産み付けますが、やがて水中に全身を浸し潜水産卵を行います。

体中の細かい毛が生えていてそこに空気をため、1時間にわたる水中産卵の間はそれで呼吸をするということですが、感心せずにはいられません。